「日本で一番おいしいコーヒーを提供しているチェーン店はどこか知ってますか?ーマクドナルドです」
3年前の夏、2013年、僕は大学で”経営戦略論”という講義を受けていた。教授の話がおもしろくて、この授業だけは必ず一番前の席を陣取って話を聞いていた。お気に入りの教授の話は、一語一句逃さぬように聞いていたし、どの話も共感できて面白かった。しかし、この話だけは耳を疑った。
「日本で一番おいしいコーヒーを提供しているチェーン店はどこか知ってますか?ーマクドナルドです」
正直、なにいってんだこのジジイって思った。日本にはスタバやコメダ、上島珈琲など、有名なコーヒーチェーン店が数多く存在する。それらの人気店をおさえて、ハンバーガーショップが一番おいしいコーヒーを提供しているだと?冗談もほどほどにしてくれって思っていた。
プレミアムローストコーヒーって知ってますか?
教授は言った。「プレミアムローストコーヒーって知っていますか?日本で一番うまいコーヒーです」
高校生のときだっただろうか。登校中にマックを横切ると、サラリーマンの行列がすさまじかったのを覚えている。今ならわかる。あれは、マックのプレミアムローストコーヒー無料配布につられてきたおっさんたちだったということを。
教授の話を短くまとめると、こうだ。
コーヒーの味に関する研究を行った。調査方法は、パッケージを隠して、中身だけを専門家に飲ませてコーヒーの味を評価させるという方法。その結果、一番評価が高かったコーヒーは、マクドナルドのプレミアムローストコーヒーだった。
昔はマックのコーヒーはくそだったとか、それを改善したとか、経営戦略はどうとか、細かい話もいろいろしてくれたけど、今回はとりあえず、『マックのコーヒーが理論上最もウマいコーヒーだった』というPOINTだけ抑えておこう。
改めて調べなおしてみた。
当時この話を聞いたときは単純にスゲーって思ったし、マックの戦略はんぱねえ!って思ったけれど、今となっては過去の話。少し時代にずれを感じるため、今回改めてどこのコーヒーが美味いのか調査してみることにした。
調査対象は、コーヒーショップ、マクドナルド、コンビニコーヒーに絞っておこなう。
コーヒーショップ
スターバックスコーヒー
ドリップコーヒー
価格:\320(Tall Size)
容量:350ml
――贅沢に、丁寧に、淹れているという印象
豆とお湯にこだわっている。飲んだ後のコーヒーの余韻がわかる人なら評価する味。
ドトールコーヒーショップ
ブレンドコーヒー
価格:\270(M size)
容量:180ml
――味は薄め。飲みやすさはあるが特徴がない
酸味は多少あるものの、アメリカンコーヒーのように味が薄い。飲みやすさはあるため万人ウケはしやすい。
タリーズコーヒー
本日のコーヒー
価格:\370(Tall Size)
容量:350ml
――豆の風味がきいている
強く豆の香りが残るのが特徴的。コーヒー本来の味を楽しめる。
コンビニ
セブンイレブン
セブンカフェ
価格:\100(レギュラー)
容量:160ml
――後味がすっきり。苦手な人も飲みやすい
薄味のアメリカンコーヒータイプ。どんなひとにも飲みやすい。
ローソン
MACHI café
価格:\100(S size)
容量:160ml
――保温効果が高いパッケージ
アツアツのコーヒーを飲みたいなら間違いなくローソン。
ファミリーマート
ファミマカフェ
価格:\100
容量:160ml
――コーヒー感・苦味、男性に好まれる味
一番苦みが強いコーヒー。しっかりとした味わいは男性に好まれそう
マクドナルド
プレミアムローストコーヒー
価格:\100(S size)
容量:175ml
――バランスよく、コーヒー好きにおすすめ
酸味、甘味、苦味のバランスが取れた味。やや薄めだが、雑味がなくコーヒー好きの心を掴む。
参照:
PRESIDENT ONLINE(http://president.jp/articles/-/10595)
CAFY(https://cafy.jp/15085)
mitoku(http://mitok.info/?p=3103)
結局、どれがウマいの??
これまで色々と例を挙げてきましたが、結局どのコーヒーが美味しいのでしょうか。PRESIDENT ONLINEには各コーヒーの順位が記載されていましたが、根拠と具体性に欠けている気がしたので今回は省きました。気になる人は参照ページから飛んでみてください!
調べてみてわかったこと。
①好みのコーヒーをしっておくべき
多様化したコーヒー界では、『これが一番おいしい』と断言することが難しいです。そんなときに重要なのが、自分の好みを知るということです。各社特徴があるので、飲み比べてみて好みを探ってみてください。
②コンビニ・マックは満足度が高くなりがち
価格が安いということから、期待度以上の価値を提供しやすくなっているように思えます。しかし同時にわかったことは、容量と価格の割合をだすと各社あまり差がないということです。
③カフェチェーンは意外と安い
各社のコーヒーを100mlあたりの料金は、スタバ125円、ドトール133円、マクドナルド57円、ローソン90円、セブンイレブン67円、です。マクドナルドとセブンイレブンは圧倒的な価格ですが、意外とカフェチェーンも台頭しています。驚きなのは、スタバよりもドトールの方が高いという点。
④2008年~2012年 マックコーヒーの時代
2008年にプレミアムローストコーヒーの販売を開始し、同時に、一杯無料券やおかわり無料制度を導入することによって、圧倒的な支持を得ていた。また、2008年以前までのコーヒーとは異なり、味にもかなりこだわっていたため人気が出た。
⑤2012年~ コンビニコーヒーウォーズ
2011年1月ローソン、2012年9月ファミマ、2013年1月セブンイレブン、と各社同時期にコンビニコーヒーサービスを開始しました。またマクドナルドのおかわり無料サービスが廃止された2012年4月からは、コンビニ各社のコーヒー争いが激化し始めた。
最終的に、当時教授が言っていた「マクドナルドのコーヒーが一番うまい」という話は、おおよそあたっているということがわかった。しかし、2016年現在では、コンビニコーヒーの出現により、これまで以上にコーヒー市場が激化していることは間違いなさそうだ。
どーなるカフェチェーン!?
ここで心配になるのが、カフェチェーンの存在。安価でおいしいコーヒーが大量発生している今、300円~500円、一流カフェやホテルでは1000円ほどのコーヒーを提供するお店は苦しくなってきています。では、顧客離れを引き留めるにはどうすればいいのか。
今後カフェチェーンの存続を大きく左右する要因は、”付加価値”にあると考えられます。価格競争ではコンビニやマクドナルドに勝つことは難しいです。そこで注目されるのが、コーヒー以外の部分でのサービスです。Wi-Fiを提供する、電源を貸し出す、付加価値のつけ方は様々だと思いますが、キーになることは間違いないでしょう。
個人的に最も注目しているコーヒーチェーンは、”ドトールコーヒー”です。ドトールは価格戦略を用いてここまで台頭してきたお店です。それが価格で対抗できなくなった今、どのような戦略を打ち出してくるのか注目しています。
まとめ
結局、どれが一番うまいコーヒーなのかという疑問は解消されることはなかった。その理由としては、コーヒーを提供するお店が多すぎることや、顧客の趣向が多様化していることが挙げられます。つまり、ヒトコトでまとめてしまうと、「好みのコーヒーを探し出してください」ということに限ってしまいます。
各社ともにコーヒー市場に対して別々のアプローチを仕掛けてくることは間違いありません。その変化に注目してみることも、面白いかもしれません。
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